英検協会(公益財団法人 日本英語検定協会)では、2015年度の英検まで志願者、受験者、合格者のデータを公開していました。

2016年以降の試験ではこれらのデータが公開されていませんので、公開された最終年度の2015年度の英検1級の合格率12.0%を英検の一次試験の合格率として使用しているブログが多いのですが、元のデータを探していると、この合格率にはある重大な勘違いを含んでいると言うことに気が付きました。

2015年度英検1級合格率
出典 「2017年度版英検1級過去6回全問題集」に赤印を追記

2015年度の英検1級の合格率12.0%というのは、志願者に対する二次試験の合格者数である可能性なのです。

英検1級の合格率

例えば、2015年度英検1級過去6回全問題集で、2014年度第2回級別受験状況が掲載されています。

英検1級合格率2014年度第2回
出典 「2015年度版英検1級過去6回全問題集」に赤印を追記

英検1級の合格率は11.3%となっており、898(二次試験の合格者数)を、7,938(志願者数)で割ると、898/7,938=11.31%となります。

合格率=二次試験の合格者数/志願者数

英検協会が出している合格率は、志願者数を二次試験の合格者数で割った割合です。

さらに詳しいデータが見つかりました。

英検1級の一次試験・二次試験の合格率

過去6回問題集によって取り扱うデータが異なるために、たいへん見にくくなり申し訳ありませんが、2011年度英検準1級過去6回全問題集で、ここには、一次試験、二次試験を区別したデータが掲載されています。

2010年度第2回級別受験状況
出典 「2011年度版英検1級過去6回全問題集」に赤印を追記

一次試験

英検1級の一次試験の合格率は、一次試験合格者数(922人)を実受験者(7,200人)で割って、12.8%と算出しています。

922人/7,200人×100=12.81%

二次試験

英検1級の二次試験の合格率は、二次試験合格者数(838人)を実受験者(1,270人)で割って、66.0%と算出しています。

838人/1,270人×100=65.984%

一次試験合格者922人に対して、二次試験の実受験者が多いのは一次免除で受験される方を含んでためです。一次試験合格者922人が全員二次試験を受験した場合には、348人が一次試験免除となります。

英検では級に関わらず一次試験に合格された方が二次試験に不合格となった場合に、その後3回、公開試験で一次試験を受験せずに二次試験を一次試験免除制度を利用して受験することができます。

最終合格率

一次試験、二次試験の合格率は、実受験者で算出されているようですが、最終的な合格率は、対志願者の合格率と記載されています。

実際には、志願者8,479人に対して、99.894%の8,470人が受験していますので、志願者であれ、実受験者であれ、最終合格率は変わりません。

対志願者での合格率は、二次試験合格者数(838人)を志願者(8,479人)で割って、9.9%と算出しています。

838人/8,479人×100=9.8832%

補足

もう少し元データが見つかると正確な分析ができるのですが、現在の資料で判明できることを整理しました。

英検合格率のまとめ

多くのブログで公開されている2015年度の英検1級の合格率12.0%は二次試験合格者に対する、一次試験志願者と二次試験志願者の合計数で割った、合格率であると思われます。

過去の合格率から推測すると、英検1級、一次試験の合格率は12.8%、二次試験の合格率は66.0%、最終合格率は9.9%、前後であると思われます。

英検協会では、一次試験、二次試験は実受験者を、最終合格者は志願者を、母数としているようです。

You Tubeにて解説